2021.09.27
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Columnマンション経営コラム
2021.09.27
「賃貸経営を始めたけれど、住民からどんなクレームがくるか心配」
「大家としてクレームにどう対応すればいいかいつも悩む」
そんな悩みを持っている賃貸オーナーさん、大家さんは多いのではないでしょうか。
賃貸物件で特に多いクレームには、
◎騒音
◎エアコンなど設備の不具合
◎キッチンやトイレ、お風呂など水回りのトラブル、水漏れ
◎ペットの鳴き声、におい
◎タバコ
◎ゴミ出しマナー
◎駐車場・駐輪場の使い方
などがあります。
これらの解決は、管理会社が入っている場合はそちらの担当者に任せればいいのですが、ときには大家さんに直接苦情が入ったり、仲裁に駆り出されたりすることもあります。
そこでこの記事では、賃貸住宅でのクレームについて、特に大家さん向けに知っておくべきことをまとめました。
また、「自分がクレームを入れたい」「クレームを入れられた」という住民の方向けにも、その対応策に1章ずつ割いています。
内容は、
◎賃貸住宅で多いクレームの具体例
◎大家としてのベストなクレーム対応
◎クレームを減らす方法
が中心で、住民向けには、
◎上手なクレームの入れ方
◎クレームを入れられた際の対処法
を解説しました。
最後まで読めば、賃貸でのクレームにどう対応すればいいのかがわかるはずです。
あなたが住民からのクレームをうまく処理して、上手な賃貸経営ができるよう願っています!
賃貸住宅、特にマンションやアパートといった集合住宅では、さまざまなクレームが発生します。
では、実際にはどんなクレームが多いのでしょうか?
賃貸管理会社にかわって入居者からの問い合わせ電話に対応する代行コールセンターサービス「プロコール24」(運営:オーナーズエージェント株式会社)に寄せられたクレーム件数の分析を、公益社団法人全日本不動産協会が紹介していましたので、参照してみましょう。
以下を見てください。
【世帯別・年齢別のクレーム内容上位5位】
男性単身世帯 | 30歳未満 | 30歳代 | 40歳以上 | 全体 |
第1位 | エアコン 6.07% |
騒音 7.91% |
騒音 8.28% |
騒音 6.69% |
第2位 | 騒音 4.50% |
エアコン 5.65% |
エアコン 6.96% |
エアコン 6.26% |
第3位 | 配管などの漏水 4.37% |
配管などの漏水 3.84% |
配管などの漏水 5.81% |
配管などの漏水 4.72% |
第4位 | 建具・サッシ 3.29% |
給湯器 3.53% |
共用灯 5.24% |
トイレ不具合 3.72% |
第5位 | トイレ不具合 3.25% |
トイレ不具合 3.34% |
トイレ不具合 4.56% |
給湯器 3.65% |
女性単身世帯 | 30歳未満 | 30歳代 | 40歳以上 | 全体 |
第1位 | エアコン 6.07% |
エアコン 8.55% |
配管などの漏水 9.99% |
エアコン 7.99% |
第2位 | 配管などの漏水 6.00% |
配管などの漏水 7.76% |
エアコン 8.57% |
配管などの漏水 7.30% |
第3位 | 騒音 5.77% |
騒音 7.03% |
騒音 8.32% |
騒音 6.64% |
第4位 | 建具・サッシ 4.28% |
建具・サッシ 6.91% |
共用灯 7.95% |
建具・サッシ 5.29% |
第5位 | トイレ不具合 4.08% |
共用灯 5.06% |
トイレ不具合 7.27% |
トイレ不具合 4.94% |
家族 | 30歳未満 | 30歳代 | 40歳以上 | 全体 |
第1位 | 建具・サッシ 12.26% |
建具・サッシ 16.61% |
建具・サッシ 16.44% |
建具・サッシ 15.51% |
第2位 | 配管などの漏水 10.31% |
配管などの漏水 12.15% |
配管などの漏水 15.02% |
配管などの漏水 12.80% |
第3位 | トイレ不具合 8.02% |
トイレ不具合 10.98% |
トイレ不具合 14.57% |
トイレ不具合 11.64% |
第4位 | 植物・生物 7.57% |
植物・生物 9.03% |
共用灯 12.82% |
共用灯 9.82% |
第5位 | 騒音 7.24% |
共用灯 8.67% |
駐輪場 10.46% |
植物・生物 8.22% |
出典:公益社団法人全日本不動産協会ホームページ「入居者満足に繋げるクレーム分析」
これを見ると、主にエアコンや水回りといった設備の不具合と、騒音に関するクレームが多いのがわかります。
また、この統計には入っていませんが、「近隣の家のタバコのにおいが気になる」といったにおいに関するクレームなども増えているそうで、借主側からの要求は実に多岐にわたります。
そこでこの章では、実際にどのようなクレームがよく挙がるのか、具体的にみていきましょう。
ちなみに具体的な対処法については、物件オーナーなら「2. 大家としてベストなクレーム対応とは」を、住民なら「3. 上手なクレームの入れ方」を参照してください。
賃貸物件でのクレームの代表格といえば「騒音」です。
「となり(または上下階)の家からの騒音がうるさい」
「外の道路や工事の音が気になる」
などのクレームが発生します。
具体的に「騒音」としてトラブルになりやすい音は、
■大きすぎる生活音(足音、ドアの開け閉めなど)
■テレビやオーディオの音
■ピアノやギターなど楽器の練習音
■大きすぎる話し声や笑い声
■子どもの走り回る音
■赤ちゃんの泣き声
■早朝や深夜などに洗濯機を回す音
■キッチンやトイレなどの流水音
などです。
特にアパートやマンションの場合、上下両隣を隔てるのは壁や床だけですから、音が伝わりやすくトラブルになりがちでしょう。
ただ、騒音トラブルの場合、音の発生源の特定は簡単ではありません。
住民は「真上の階の人がドスドス歩いている」とか「右隣りで夜中に洗濯機を使っている」と思い込みがちですが、実際はその家が音源ではないケースもよくあるのです。
というのも、アパートやマンションの内部の音は、建物の構造や配管を伝わって、意外な場所にまで伝わることがあるからです。
「真上の音だと思っていたが、斜め上の家からだった」などということもありえます。
住民も管理担当者も「この家からの音だ」と思い込まず、まずは冷静で客観的な対応が必要です。
次に、賃貸物件にあらかじめ備わっている設備について、「壊れた」「不具合で正常に作動しない」といったクレームも多くあります。
具体的には、
■エアコンの不具合
■ドア、サッシなどの故障、破損
■給湯器の不具合
■ガスレンジの不具合
■警報装置の誤作動(突然鳴り出す、鳴りやまないなど)
などが想定されます。
この場合よく問題になるのは、「借主と貸主、どちらが修理依頼・費用負担するのか」ということです。
たとえば最初から部屋の備品として備え付けられていたエアコンが、一般的な使い方をしていて壊れてしまった場合は、貸主=大家さんが修理の手配をし、費用も負担します。
が、
・借主が、管理会社や大家さんに連絡せず勝手に修理依頼した場合
・汚損や不調に気づきながら放置して使い続けた結果、不具合が生じた場合
・衛生状態が悪いなど、ひどい使い方をした結果として不具合が生じた場合
などは、大家さんではなく借主側が修理費用を負担しなければならないケースもあるので要注意です。
近年増えていると言われるのが、においに関するクレームです。
たとえば、
■カビくさいにおい
■タバコのにおい
■ペットのにおい
■料理のにおい
などに対して苦情が寄せられます。
室内のカビ臭などであれば、原因を突き止めて清掃や塗りなおしをするなどの対応ができますが、やっかいなのは「近隣の家・人がくさい」というクレームでしょう。
「廊下やエレベーターなどの共用部分がタバコくさい(ペットくさい)」「近隣からのにおいが、洗濯物や干した布団につく」といったケースです。
これについては、禁煙物件やペット禁止物件であれば、においのもと自体を排除してもらうことで解決できます。
が、特に禁止事項がない場合は、強制的ににおいを排除することはできません。
管理会社やオーナーから住民に、「共用部分やベランダでは、タバコは控えていただきたい」「ペットのにおいが残らないよう気をつけて」などといった「お願い」をしたり、管理組合で話し合って新しい規約をつくったりするのが、一般的な対処法といえるでしょう。
キッチンやトイレ、お風呂などの水回りに関するトラブルも、しばしばクレームになります。
この場合、
■水道の蛇口や排水管からの水漏れ
■トイレの詰まり
■排水の不具合
といった、自分の部屋でのトラブルはもちろん、
■上の階からの水漏れ(お風呂の水があふれた、洗濯機のホースがはずれたなど)
などの近隣からこうむるトラブルもしばしば起こりえます。
いずれにしろ、まずは専門業者に修理してもらう必要がありますが、その際の責任と費用負担はだれが負うのでしょうか。
それは、トラブルの原因によって異なります。
◎もともと備わっていた設備が経年劣化して起きた場合:貸主=大家さん
◎借主の使い方が悪くて起きた場合:借主
となるのです。
つまり、最初からついていたトイレや排水管などが、自然に古くなって水漏れなどを起こした場合は大家さん側が修理費用をもちます。
一方で、借主がお風呂のお湯を入れっぱなしで忘れてしまい、あふれたお湯で下の階が濡れた場合などは、借主側が費用負担しなければならない可能性が出てきます。
水回りに関してのクレームが発生したら、迅速な修理と同時に原因を突き止める必要があるというわけです。
ゴミ出しのルール違反も、クレームにつながりやすいものです。
■自治体で定められた日以外にゴミ出しする
■所定の集積所以外の場所にゴミを出す
■ゴミの分別が不十分(燃えるゴミと燃えないゴミを一緒に出すなど)
など、自治体で決められているゴミ出しのルールを守らない人に対して、近隣住民からの苦情が寄せられます。
というのも、ルール違反のゴミは回収されないため、腐ったりカビたり悪臭を放ったりするからです。
ときにはカラスやネズミ、ハエなどが集まって、非常に不衛生な状態にも陥ってしまいます。
そのようなトラブルを防ぐためには、管理担当者から住民に日ごろからゴミ出しルールを徹底しておく必要があるでしょう。
マンションやアパートの場合、住戸として使用する部分はその部屋の住民の「専有部分」ですが、それ以外の場所は住民みんなの「共有部分」となっています。
たとえば、駐車場、エントランス、エレベーター、廊下、ゴミ集積場などです。
この共有部分については、勝手にものを置いたり使用したりすることを禁止しているマンション、アパートが多いため、以下のようなクレームが発生します。
■廊下などに個人のものが置かれている(自転車、ベビーカー、古新聞など)
■エントランスホールを子どもの遊び場にしている住民がいてじゃま
意外なところでは、各戸のベランダ、バルコニーや玄関扉、専用庭なども共有部分とされます。
これらは契約によって、各戸の住民が専用に使用することはできますが、同時に「共有」されてもいるため、以下のようなケースもトラブルにつながる恐れがあり要注意です。
■勝手にベランダでバーベキューをする
■専用庭で育てた植物がとなりの敷地まで伸びている
これらのトラブルを避けるには、住民間で「どの部分が共有=勝手に使用してはいけないか」を明確にしておく必要があるでしょう。
前項にも関係するのですが、共用部分のひとつである駐車場や駐輪場も、クレームのもとになりがちです。
たとえば、
■契約車両以外の無断駐車(住民の知人が遊びにきたので、空いているところに停めたなど)
■駐車・駐輪マナーの悪さ(ほかの車が出しづらい位置に停めるなど)
■駐車場や駐輪場以外の場所への駐車・駐輪
などがありえます。
このケースで注意したいのは、私有地内であっても他人が所有する車や自転車を勝手に撤去してはいけない、ということです。
たとえば、駐車場に無断駐車している車があった場合、そのスペースを正式に契約している住民や、マンションのオーナーであっても、無断でレッカー移動などをすることは法的にNGなのです。
かといって、警察に訴えても「民事不介入」で何もしてもらえません。
あくまで管理担当者と車両の所有者の間で解決すべき問題です。
車に警告文を貼りつける、ナンバーから運輸局などで所有者を調べる、などの対応が必要になるでしょう。
ペット関連のクレームとしては、
■ペット不可の物件での飼育
■鳴き声などの騒音
■共用部分でのペットのにおい
などがあります。
ペット不可の物件で飼っている場合は、規約によって退去してもらうなどの対応ができますが、問題はペット可の物件での苦情です。
「鳴き声がうるさい」「エレベーターがくさい」などのクレームが生じても、飼っていること自体は違反ではないので、飼い主へはお願いや注意くらいしかできません。
ペット可の物件では多くの場合、規約の中にペットに関する事項が含まれているはずです。
たとえば、
・飼えるペットの数(犬1頭、猫2匹までなど)
・飼えるペットの種類(猫と小型犬・中型犬はOK、大型犬はNGなど)
・共用部分での扱い方(リードは短く持つ、エレベーターでは抱きかかえるなど)
といった内容です。
これに違反している場合は、規約によっては飼育許可の取り消しや、損害賠償などが求められる可能性もありますので、ペットトラブルが生じたらまず規約を確認しましょう。
飼っているペットではなく、外部から侵入してくる鳥や虫による被害がクレームになることもあります。
■ベランダでのハトのフン害
■ゴキブリなどの大量発生
■ネズミが出る
などです。
これについては、殺虫剤などの薬剤を使う、清掃を徹底するなどの対応が可能ですが、ひどい場合は専門の駆除業者に依頼するのもひとつの手です。
また、「アパートやマンションの管理会社自体の対応が悪い」というクレームもよくあります。
■担当者の対応への不満
■管理会社自体の対応への不満
などです。
たとえば、
「となりの家の騒音がうるさいので管理会社に相談したが、担当者がちゃんと対処してくれなかった」
「エアコンが故障したので修理を頼んだが、管理会社の対応が遅くてなかなか修理してくれない」
といったケースが考えられるでしょう。
担当者ひとりの問題であれば、担当を変えてもらうこともできるでしょうが、管理会社全体に問題がある場合はより深刻です。
そんな際は、住民であれば直接大家さんに相談する、大家さんは管理会社を変える、といった対応が必要になってきます。
さて、ここまで具体的なクレーム事例を見てきました。
では、実際にクレームが発生した場合、どのように対応するのがベストでしょうか?
それは、あなたの立場が物件のオーナー=大家なのか、またはクレームを申し立てる住民なのか、もしくはクレームを入れられた側の住民なのかによって異なってきますので、それぞれについて解説したいと思います。
まず最初にこの章では、「大家さんはどうすべきか」を挙げていきましょう。
大家としてクレームを受けたときに、もっとも重要なのは「素早く対応する」ことです。
というのも、クレームを放置すればするほど不満は大きくなり、解決が難しくなるからです。
クレーム主は、クレームを入れた時点ですでにがまんを重ねてきて限界が近づいています。
そこで大家さんが親身になって迅速に対応してくれれば、「相談してよかった」「いい大家さん、いい物件だ」という信頼感、安心感につなげることもできるでしょう。
が、反対に対応が遅いと、クレーム主はもともとの不満に加えて、「大家さんの対応が悪い」という新しいストレスも抱えてしまうことになります。
不満も不信感も増大してしまうため、たとえば最初の時点では「先方が改善してくれればそれでいい」と思っていた人でも、もっと厳正な解決を求めてくるかもしれません。
最悪の場合、「解決されないなら退去する」という恐れもあるのです。
そうならないよう、初動は素早く誠意をもって対処しましょう。
では、まず何から行えばいいのでしょうか?
最初は「クレームの原因を特定する」ところから始めてください。
たとえば騒音であれば、どこからの何の音かを調べます。
そのためには、クレーム主からよく話を聞き、メモや録音などの記録があればそれを確認させてもらい、ときには実際にその音がする場面に立ち会ったりする必要もあるでしょう。
「1-1.騒音」でも触れましたが、騒音の音源はとなりや上階とは限りません。
クレーム主が「上の階を子どもが走り回っている」と言っていても、上の階に確認するとその家に子どもはおらず、ななめ上の家の音がマンションの構造を伝って響いてきていた、というケースもあるのです。
また、水漏れであれば、どこから漏れているのか、何が原因なのか、専門の修理業者を呼んで調べてもらわなければなりません。
無断駐車している車や、共用廊下に置かれた三輪車の持ち主を調べたり、異臭の発生源を特定したりする必要もあります。
が、これらはかならずしも大家さん本人がしなければならないわけではないので安心してください。
管理会社と契約している場合は、管理会社に頼んでやってもらいましょう。
ただ、原因がわからない場合もままあります。
騒音のもとはどの家か、ゴミ出しルールを守らないのは誰かなどについては、住民のプライバシーや個人情報を守りつつ調べるのには限界があるからです。
その場合は、住民全体に対して貼り紙やビラなどで注意喚起する、それでも改善されなければ管理規約を改定するなどの対応が必要になります。
それについてはこのあとでまた説明しますので、読み進んでください。
原因特定と同時に、賃貸契約や管理規約の内容も確認しましょう。
その中に、クレームに関係する項目が記載されていることも多いからです。
ちなみに国土交通省が作成した「マンション標準管理規約」というものがあります。
マンションの場合、標準的にこのようなルールが必要でしょう、という見本のようなものです。
その中では、
◎駐車場やバルコニーなど共有部分の使い方
◎専有部分(=居室内)の修繕について
◎ペットの飼育
◎楽器の演奏
などについて定めることが推奨されています。
これらの規定があれば、それに従ってクレーム対応することが可能です。
また、賃貸契約や管理規約に反した場合は、退去を求めることもできる、という規定が記されている場合も多いので、最終手段としてはそれを利用するのもひとつの手です。
クレームの原因が特定でき、賃貸契約と管理規約を確認したら、それにのっとって適切に処理をしましょう。
具体的には、
◎設備の不具合:専門の修理業者に依頼して、なるべく早く修理する
◎騒音、におい、ゴミ、共用部分、ペットなど:
原因となっている家がわかれば、管理会社からそこに注意をしてもらう
わからなければ、貼り紙をする、各戸にビラを入れるなど住民全体に注意喚起する
といった方法です。
いずれにしろ、管理会社が入っているなら対応を任せましょう。
ただ、任せっぱなしにはせず、進捗や経緯は随時報告してもらい、大家として把握しておく必要があるでしょう。
もしそれでも解決しない場合は、
◎クレーム主とトラブルの原因となっている住民とをまじえて話し合いの場を持つ
◎クレームの原因をなくすよう、管理規約を改定する
◎まったく改善されず悪質な場合などは、最終手段としてクレームの原因となっている世帯に退去を求める
などの対応もとってください。
次に、あなたが賃貸物件の住民として何か不満をもっていて、クレームを入れたいケースを考えてみましょう。
その場合、どのようにクレームを入れれば解決しやすいのでしょうか?
そのポイントは、以下の3つです。
まず「誰にクレームを入れるか」ですが、最初はかならず管理会社に連絡しましょう。
間違っても、「となりの音がうるさいから、家に行って文句を言ってやる!」などと、相手に直接クレームを入れてはいけません。
当事者同士では感情的になりがちで、冷静に解決するのではなく、ムダに対立が深まってしまう恐れがあるからです。
また、「1-1.騒音」 でも触れたように、「この家が原因だ」と思い込んでいても、実際は別の原因であるというケースもあります。
その場合、濡れ衣を着せられた相手との間に新たなトラブルが生まれてしまいます。
そんなことのないよう、第三者である管理会社に間に入ってもらい、冷静かつ客観的に問題を解決してもらってください。
ただし、肝心の管理会社がクレーム対応が下手だったり、担当者にやる気がなかったりして、なかなかトラブルが解決しない場合もあります。
そんなときは、直接大家さんに連絡しましょう。
大家さんから管理会社を動かしてもらうか、場合によっては直接大家さんに解決に乗り出してもらってください。
次に、クレームの原因に関しての客観的な記録や証拠を用意しておきましょう。
騒音であれば、音がした日時を逐一記録したり、録音しておきます。
無断駐車や共用部分の不正使用なども、日時の記録と写真がをとっておくのです。
それらがあれば、管理担当者にも被害の切実さが伝わりやすいですし、原因を突き止める手掛かりにもなります。
相手に対して改善を求める際の説得材料にもできるでしょう。
最後に、クレームを入れる際に重要なのは、感情的にならないことです。
何かに悩まされているときは、「これを解決したい」という願いと同時に、「このつらさをわかってほしい」という気持ちもわいてきますよね。
そのため、第三者である管理担当者や大家さんに対して、「自分がどれほど困っているか」「どんなつらい思いをしたか」を感情的に訴えてしまいがちです。
そうなると、問題の本質が相手に伝わりづらくなり、場合によっては「大したことではないのに大げさに騒いでいる」と思われて、深刻に捉えてもらえないというリスクさえあるのです。
クレームを入れるときには、「私がこんなにつらい思いをしている」と訴えるよりも、「この問題を解決してほしい」と冷静に求めるほうが、相手も「ではどうすればいいのか」を考えてくれるため、解決に近づくといえるでしょう。
前章ではクレームを入れる住民の立場で考えてみました。
が、逆に住民であるあなたが、ほかの住民からクレームを入れられる可能性もありますよね。
たとえば、「おたくの子どもが走り回る音がうるさい」「飼っている犬の鳴き声がうるさい」「ゴミ出しがいい加減だ」などと言われた場合、どうすればいいのでしょうか?
そんなときは、以下の3ステップで対処してください。
クレームを言われる場合は、ほかの住民から直接苦情を言われるケースと、管理会社や大家さんから「こういう苦情が出ています」と言われるケースとがあります。
どちらの場合でも、そのクレームが濡れ衣でない限りは、まず「それはご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と謝罪しましょう。
最初に謝罪することで、相手は「ああ、謝ってくれた」「改善するつもりがあるのだな」と感じ、トラブルが解決する方向に向かいます。
逆にもし、「そっちだってうるさいのに」とか「ほかの人もやっている」などと感情的になって言い返してしまうと、相手もヒートアップしてかえって問題が大きくなってしまう恐れがあります。
この時点では、全面的に自分の非を認めたり、責任をとることまで約束する必要はありませんが、解決へのステップとしてまず謝罪の言葉を述べるところから始めるといいでしょう。
ただし、まったくの濡れ衣である場合はまた別の問題です。
その場合は、まず相手の言い分を聞いた上で、次の段階「4-2.管理会社や大家さんに間に入ってもらう」 に移行してください。
次に、管理会社や大家さんに間に入ってもらい、解決方法を話し合いましょう。
クレーム主と直接やりとりすると、お互いに感情的になってしまう恐れがありますので、客観的な第三者に調整してもらうほうが解決しやすいものです。
謝りに行くにも、話し合いをするにも、管理担当者や大家さんに立ち会ってもらってください。
両者の言い分を聞いて、どちらも納得いくような落としどころを提案したり、相手がヒートアップした際になだめるといった役割が期待できます。
話し合いの証人として、後日に「言った・言わない」のトラブルも防げます。
また、もしクレームの内容に心当たりのない場合にも、管理会社や大家さんにその旨を伝えましょう。
クレーム主に直接「それはうちではない」と反論しても、相手は「絶対にこの家が原因だ」と思い込んでいて余計話がこじれる危険性があるためです。
管理担当者や大家さんに間に入ってもらい、客観的な視点から本当の原因を突き止めてくれるよう依頼しましょう。
そして原因が自分にあるとわかった場合は、なるべく早くに解決策をとりましょう。
たとえば、騒音クレームであれば、
◎防音マットを敷く
◎音を出す時間帯を、まわりの迷惑にならない時間に変更する
(子どもを遊ばせる時間や、楽器の練習時間、洗濯時間などを変える)
といった対策を講じます。
ほかにも、
◎共用部分で「じゃまだ」と言われたものは自室内に撤去する
◎故障しているものは修理してもらう
◎タバコやペットなどのにおいは、消臭対策をとる
◎ゴミ出し、駐輪・駐車などのルール違反は改める
など、できる限りの改善をしてください。
その際に気をつけることは、「以後気をつけます」といった漠然とした約束ではなく、「いつ、何をするのか」具体的な解決策を提示し、それを管理会社や大家さんを通じてクレーム主に伝えてもらうことです。
ただ謝るより、いつまでに、どのように解決するのかを示すほうが、相手にも誠意が伝わるでしょう。
そして肝心なのは、その解決策をなるべく早く実行することです。
改善までに時間がかかれば、その間に相手の不満はまた増大し、解決も難しくなります。
トラブルを深刻化させないためには、とにかく早期に改善することが大切なのです。
ここまで、賃貸物件でクレームが発生した場合の解決方法について考えてきました。
が、そもそもクレームは発生しないに越したことはありませんよね。
あらかじめ起こりそうなトラブルを予測し、未然に防ぐことができれば、クレーム自体がなくなるはずです。
そこで、この章では大家さんや管理担当者の立場から、クレームを事前に減らすためにすべきことを挙げていきましょう。
まず、日ごろから住民の声を聴く機会をもちましょう。
たとえば、
◎定期的に「気になること、不満、要望はないか」とアンケートをとる
◎住民を見かけたら、声をかけて何か問題がないか聞く
といったことをしていれば、トラブルはまだ小さい芽のうちに摘むことができます。
騒音などのよくあるトラブルは、夜や休日など住民が多く在宅しているときに起きがちなものです。
そこで、管理担当者や大家さん自身が、その時間帯に物件を見回ってみるといいでしょう。
中には、実際に空き部屋に泊まってみる人もいるようです。
すると、「この家がうるさいな」「廊下に自転車が停められていてじゃまだな」など、気づくことがあるはずです。
それに対して、住民に声掛けをしたり、注意喚起の貼り紙をしたりすることで、問題が大きくなる前に解決できる可能性が高まります。
また、賃貸契約や管理規約の内容に不備はないか、ときどき見直すことも必要です。
住民アンケートや実地リサーチで浮かび上がった問題点や、「1.賃貸住宅で多いクレームとは」 で挙げたよくあるクレーム事例に関して、どのような規定があるかを確認しましょう。
もし規定が不足していれば、あらたに項目を盛り込む必要があるかもしれません。
たとえば、
◎騒音に関する対策
◎共有部分でのタバコ禁止
◎共有部分でのペットの扱い方
◎楽器の演奏時間の制限
◎規定に違反した場合の処分
などが考えられます。
これから起こりそうなクレームを想定して、事前に予防法や対処法を決めておきましょう。
さらに、トラブルが発生した際に備えて、必要な保険に加入しておくことも重要でしょう。
大家さんであれば、火災保険には加入しているはずですので、それに加えて「施設賠償責任保険」にも入っておくことをおすすめします。
施設賠償責任保険は、所有する建物やその設備の欠陥・不具合のせいで、人にケガをさせてしまったり、人のものを汚損してしまったりした際に、その損害賠償金を補償してくれる保険です。
たとえば、
・外壁や敷地内の設備が落下して、住民の車に傷をつけた
・共用部分の設備が故障して、人がケガをした
といった場合に適用されます。
また、入居者には「個人賠償責任保険」に加入してもらうことを、入居時の条件に加えておくといいでしょう。
こちらは、
・水漏れで階下の部屋の家財をダメにしてしまった
・飼っているペットがほかの住民に吠えかかってケガさせてしまった
などのケースで、賠償金が補償されます。
これらの補償があれば、万が一トラブルがあっても、お金の不安なく解決することができるでしょう。
いかがでしたか?
賃貸住宅でのクレームについて、どう対応すべきかがよく分かったかと思います。
では最後に、記事の要点をまとめてみましょう。
◎大家としてのベストなクレーム対応は、
・とにかく迅速に対応する
・原因を特定する
・契約内容を確認する
・ケースに応じて適切なクレーム処理をする
◎事前にクレームを減らす方法は、
・住民の意見を聴く
・休日や夜中に巡回してみる
・契約や管理規約の内容を見直す
・保険に加入する
以上の対策で、あなたの賃貸物件が大きなトラブルなく運営されるよう願っています!
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