Columnマンション経営コラム

マンション経営とは?メリット・リスクと失敗を回避する3つの方法

2021.09.26

マンション経営とは?メリット・リスクと失敗を回避する3つの方法

マンション経営とは、マンションを購入して第三者に貸し出すことで、毎月家賃収入を得るビジネスのことです。マンションの価値が購入時よりも上がったタイミングで売却すれば、差益を得ることもできます。
取り扱う物件の規模としては、「一棟丸ごと所有」する場合と、一部の部屋だけを所有する「区分所有」という2つのパターンがあります。

この記事では、マンション経営について詳しく知りたい人のために、マンション経営の基礎知識として、以下を解説します。

・マンション経営で儲かる仕組み
・マンション経営の利回りの目安
・マンション経営とアパート経営との違い

そして、マンション経営を始めるべきかどうかの検討材料になるよう、以下についても詳しくお伝えしていきます。

・マンション経営のメリットとリスク
・マンション経営の失敗で自己破産するリスクはどのくらいか
・マンション経営が向いている人・向いていない人
・マンション経営で知っておきたい失敗事例
・マンション経営で失敗に陥りやすい人の特徴

さらに、失敗を回避して、マンション経営を成功させるための方法を知りたいという人に向けて、以下も説明します。

・マンション経営のリスクを回避するための物件の選び方

最後にはよくあるQ&Aもつけているので、マンション経営にまつわる疑問は、この記事をお読みいただければ全て解決するようになっています。

マンション経営は、多額のローンを組んで始めるものですので、決してリスクはゼロではありません。自分に向いているかどうか、自分なら成功できるかどうかを、正しく判断する必要があります。

そのためこの記事で、メリットやリスク、向いている人と向いていない人、具体的な失敗例などを学んで頂くと、自分が始めるべきなのかどうか、納得感を持って判断することができるようになりますよ。
あなたのマンション経営の成功のお役に立てれば幸いです。

1.マンション経営とは

マンション経営とは、冒頭でもお伝えしましたが、「マンションを購入して第三者に賃貸することで、毎月安定的な家賃収入を得るビジネス」のことを指します。また、毎月収入を得られるだけでなく、最終的に物件を売却するタイミングでも、収入が発生します。

特に免許や資格などは必要ありませんが、どのタイミングでどのように利益を得るのか、しっかりと戦略を立てて取り組む必要があるため、ただの投資とは違って、経営者としての目線が強く求められるものになります。

その中でも、多くの人が最初に気になるのが「マンション経営って儲かるの?」という疑問だと思います。マンション経営は、やり方次第では収益を生むことができますが、どんな場合でも儲かるというわけではありません。まずは、マンション経営で利益を得るための仕組みを知っておきましょう。

1-1.マンション経営が儲かる仕組み

具体的には、以下の2種類のパターンがあります。

①毎月の家賃収入

マンション経営の主な収益源は、毎月の家賃収入です。
ただし、マンションの購入や維持のための支出もありますので、家賃額が全て利益になるわけではありません。

・マンション経営で毎月得られる利益:(毎月の賃料×部屋数)ー(ローン支払金額+維持費)

マンションを購入する際にはローンを組むことがほとんどだと思いますので、支出として、毎月のローン支払いが発生します。他にも、管理会社へ支払う業務委託費用、固定資産税などがかかり、その差額が利益となります。

②物件の売却益

マンション経営では、毎月の家賃収入だけでなく、最終的に物件を売却する時にも利益を得られる可能性があります。

・マンション経営の最後に得られる利益:(当初の物件購入金額)ー(最終的な物件売却金額)

ただし、物件や土地の価値が大幅に下落した場合などは、逆に損をしてしまうこともあります。
しかし、売却益だけを見るとマイナスだとしても、その間の何十年か、毎月の家賃収入で得られた収益も含めて考えると黒字だったということであれば、トータルで見るとそのマンション経営は成功だったといえるでしょう。

2.マンション経営の利回りは4~6%が目安

次に気になるのは、マンション経営は実際にどのくらい儲かるのか?という点ではないでしょうか。投資金額に対して得られる利益の割合は、「利回り」という指標で示されます。利回りには2種類あり、投資用物件検索サイトなどで記載されているのは「表面利回り」と呼ばれ、以下のような式で表されます。

・表面利回り(%)=満室の場合の年間家賃収入÷不動産購入金額×100

ただし不動産の場合、マンションの維持に経費がかかるため、その経費を差し引いた実質的な利益を元に計算しないと、収益性を正確に判断することはできません。これは「実質利回り」と呼ばれていて、計算式は以下のようになります。

・実質利回り(%)=(満室の場合の年間家賃収入-年間の経費)÷(不動産の購入価格+不動産購入にかかった経費)×100

しかし、上記の式のように、実際にどのくらい儲かるのかは、物件価格や経費に依存するため、それぞれの物件で異なります。そのため、購入前から実質利回りを把握するのは難しく、一般的には表面利回りで比較していきます。

では、マンション経営の場合、表面利回りはどのくらいなのかというと、だいたい4~6%くらいを目安として考えると良いでしょう。
一般財団法人「日本不動産研究所」が実施した2020年10月の「不動産投資家調査」によると、東京都内の駅近マンションの利回りは、以下のように、城南地区(目黒区や世田谷区)で4.2%、城東地区(墨田区や江東区)で4.4%という結果でした。

東京都内のマンション一棟の利回りの目安

立地条件 期待利回り
城南地区/目黒区、世田谷区
(渋谷、恵比寿駅まで15分以内の鉄道沿線)
4.2%
城東地区/墨田区、江東区
(東京、大手町駅まで15分以内の鉄道沿線)
4.4%

※上記物件の条件
・住宅の種類:ワンルーム
・アクセス:最寄り駅から徒歩 10 分以内
・築年数:5 年未満
・平均専用面積:25~30 ㎡
・総戸数:50 戸程度

東京以外の都市の場合は、それよりも少し高くなり、最も高い広島では、以下のように5.7%にもなります。

東京以外の駅近マンション一棟の利回りの目安

地区 期待利回り
札幌 5.5%
仙台 5.5%
千葉 5.2%
名古屋 5.0%
広島 5.7%
福岡 5.0%

※物件の条件は上記東京都内のマンションと同等とする

物件購入価格が安く、想定家賃が高ければ、表面利回りは高くなるため、物件価格が安い地方の場合、上記のように利回りは高くなることが多いです。
また、上記調査は、「駅から徒歩10分の築浅物件」を想定しているため、最寄り駅から遠い築古の物件などの場合は、物件自体の価格が安いため利回りはもっと高くなること多く、20%を超えることもあります。

ただし利回りは、高ければ高いほどいい、というものではありません。この計算では、空室率が考慮されていないので、いくら格安で表面利回りの高い物件を手に入れても、駅から遠い、設備が劣化している、などの理由で、入居者が1人も集まらない場合、実際の収入はゼロとなってしまいます。
そのため、利回りの高さだけに捉われず、安定して入居者が入りやすい、魅力的な物件を選ぶことが大切だといえるでしょう。

マンション経営が成功しやすい物件の選び方は、「7.リスクを回避するための物件の選び方」で解説します。

3.アパート経営との違いは?

マンション経営とよく似た不動産ビジネスに「アパート経営」があります。儲かる仕組みは同様ですが、扱う建物の種類が、マンションなのか、アパートなのかという点が異なります。

一般的には、マンションというと「鉄筋コンクリート造で階数に制限がない」住宅のことを、アパートというと、「木造もしくは軽量鉄骨造で、階数は2~3階建て程度」の住宅のことを示すことが多いです。
どちらも一棟を所有する場合を想定して、その違いを以下のように表で比較します。

詳しくは以下で解説します。

3-1.投資金額の比較

  投資金額
マンション経営 高い(1億円~)
アパート経営 安い(数千万円程度)

投資金額とは、物件を最初に購入するときにかかる費用です。一般的には、マンションは1億円以上することが多いものですが、アパートの場合は数千万円程度で購入することができます。 

なぜかというと、最初にお伝えした通り、マンションとアパートでは、建物の構造や規模が異なっており、より強い構造(鉄筋コンクリート造)で部屋数も多いマンションのほうが、建築費用が高額になるため、その分物件価格も高くなるのです。

そのため、マンション経営は誰にでもできるビジネスではなく、ある程度自己資金に余裕のある人向けの方法であるといえます。

3-2.家賃収入の比較

  家賃収入
マンション経営 多い
アパート経営 少ない

一方で、毎月得られる家賃収入は、以下のような理由で、アパートよりもマンションのほうが大きくなる場合が多いです。

・同じ広さの部屋でも、マンションのほうが人気であるため、アパートより賃料を高く設定できる
・マンションがの建設に適しているエリアは、駅近であることが多いため賃料が高い
・マンションのほうがアパートよりも、規模が大きく部屋数が多いため、家賃収入が多額になる

そのため、毎月多くの収入を得たい場合は、マンション経営の方が向いているでしょう。

3-3.維持費の比較

  維持費
マンション経営 高い
アパート経営 安い

維持費とは、物件を維持するためにかかる費用のことで、例えば以下のようなものが該当します。

・管理会社へ支払う管理委託費
・物件の設備(エレベーター、宅配ロッカー、共有スペースなど)のメンテナンス費
・建物の修繕費
・保険
・税金

基本的には、マンションのほうがアパートよりも規模が大きく、共用設備が充実しているため、清掃費用や電気代、設備の修繕費用などは高額になります。

そのため、家賃収入が多いからといってそれが全て利益になるのではなく、この維持費をマイナスした分が純粋な利益となりますので、注意する必要があります。

3-4.利回りの比較

  利回り
マンション経営 やや低い
アパート経営 やや高い

利回りは、物件ごとに異なるため一概にはいえませんが、不動産投資情報サイト「健美家 」の「不動産投資 四半期レポート < 2020年10月~12月期 >」によると、以下のように、アパート経営のほうが若干高くなるようです。

・一棟マンションの利回り:8.19% 
・一棟アパートの利回り :8.70%

ただし、これはあくまでもサイトに新規登録された物件などの平均値であるため、実際に運用されている利回りとは差がある可能性があるので、参考値として捉えるのが良いでしょう。

3-5.耐用年数の比較

  耐用年数
マンション経営 長い
アパート経営 短い

耐用年数とは、「法律上、その物件を使用することができる期間」のことです。不動産購入後は、毎年の確定申告の際に経費の処理を行いますが、その時の「減価償却費」の計算に影響するものとなります。

減価償却とは、建物など、時の経過によって価値が減る資産について、購入した年に、購入金額を全て経費計上するのではなく、一定のルールで分割して毎年計上していくという、会計方法のことを指します。

耐用年数が長いほうが、物件の購入にかかった費用を、より長い期間経費として計上できるため、節税に役立ちます。また、金融機関もローンを組む際の借入期間を長くしてくれるので、経営上有利になります。 

マンションとアパートでは、一般的には以下のように、前者のほうが耐用年数は長くなるので、この点はマンションのほうが優位だといえます。

・マンション(鉄筋コンクリート造の場合)の耐用年数:47年
・アパート(木造の場合)の耐用年数:22年

参考:東京都主税局 償却資産の評価に用いる耐用年数

3-6.耐久性の比較

  耐久性
マンション経営 強い
アパート経営 弱い

耐久性とは、外壁や内装、設備などが、どのくらい劣化しにくく、長い間品質を保てるか、という性能のことです。一般的なマンションは「鉄筋コンクリート造」で、木造のアパートよりも頑丈で固い素材でできています。
そのため、マンションのほうが、建築後に時間が経っても、見た目の劣化や品質の低下が少ないという特徴があります。

新築時は、マンションもアパートも、どちらも綺麗なので、入居希望者は集まりやすいですが、築年数が経ってくると、耐久性が高く、見た目が劣化しにくい、鉄筋コンクリート造のマンションのほうが、アパートよりも競争力が高くなるでしょう。

3-7.空室リスクの比較

  空室リスク
マンション経営 小さい
アパート経営 大きい

空室リスクとは、物件が満室にならず空いたままとなり、家賃収入が得られなくなるリスクのことです。一般的には、アパートよりもマンションのほうが人気のエリアに建築されることが多いため、空室リスクはやや低いといえます。

また、築年数が経過すると、アパートは劣化が進むため、より入居希望者が集まりにくくなります。そういった点でも、老朽化しにくいマンションのほうが、空室リスクは低い傾向にあると考えられるでしょう。

4.マンション経営のメリット6選

マンション経営で儲かる仕組みや、利回りの目安、アパート経営との違いなどについてお伝えしてきました。読み進めるにつれて、マンション経営への関心が強くなってきた、という人もいるのではないでしょうか。そこでこの章では、より詳しくその魅力について理解していただくために、マンション経営のメリットを紹介していきます。

マンション経営のメリットは、以下の6点です。

詳しくは以下の通りです。

4-1.長期間安定収入を得られる

不動産の賃貸は、以下のような理由で、長期間の安定した収入を得やすい方法だといえます。

・賃貸家賃の相場は、相当な災害などが起きなければ基本的には暴落しにくい
・アパートよりも耐用年数が長いため、賃貸経営も長期間継続できる

実際に賃貸マンションの家賃相場は、以下のグラフのように、過去12年間を見ても、マイナス1.0~プラス1.5%の幅におさまるほどの変動しか見られません。

出典:公益財団法人不動産流通推進センター「2020不動産業統計集」

また、1-3.アパート経営との違いは?⑤耐用年数でもお伝えした通り、鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数は47年と、木造アパートの22年の2倍以上ありますので、長期間経営を続けることができます。
「耐用年数を超えたら法律上賃貸できなくなる」というわけではありませんが、耐用年数を超えた建物は融資を受けにくくなるというネックがあります。つまり、売却したいと思っても、ローンを組まずに不動産を購入できる人を見つけるのは難しいため、計画通りに売却活動を進めることができない可能性が高くなるでしょう。

このように、家賃収入が安定していて耐用年数も長いマンション経営は、安定的に長期間経営を継続できるという点がメリットだといえます。

4-2.景気変動に強く大損しにくい

景気変動の影響を受けにくいという点も、マンション経営の持つ大きなメリットです。

マンションは、「建物」や「土地」そのもの自体に価値がある資産です。そのため、多少相場が変動することはあっても、株券のように、ある日突然数億円の株の価値がゼロになり、ただの紙切れになってしまう…というようなリスクはありません。

実際に、首都圏の中古マンションのm2当たりの単価は、以下のグラフのように、過去11年間のデータを見ても大幅な下落はありません。2020年もコロナショックの影響は見られず、むしろ8年連続で上昇しています。

首都圏中古マンションの成約物件 m2当たりの単価

参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向 2020年」 

このように、景気変動に強いという点は、マンション経営の魅力の1つといえます。

4-3.空室リスクが低い

1-3.アパート経営との違いは?⑥耐久性でお伝えした通り、マンションは頑丈な造りになっているため、築年数の経過による、外観や設備の劣化が少ないという特徴があります。さらに、1-3.アパート経営との違いは?⑦空室リスクでもお伝えした通り、駅近などの利便性の高い場所に建てられることが多いことから、アパートよりも比較的入居者希望者が集まりやすいという特徴があります。

マンション経営では「いかに空室率を下げて家賃収入を増やすか」が重要なポイントですので、空室リスクが低いという点は、大きなメリットだといえるでしょう。

4-4.元手が少なくても大きな利益が見込める

マンション経営では、自分の元手が少なくても、購入予定の土地やマンションを担保にすることで、金融機関から多額の融資を受けることができます。そうすると、自己資金だけでは購入できないような、高額な物件を活用してビジネスを行うことが可能になります。

通常は、2億円分のものを売るビジネスをしようと思っても、自己資金が不足していれば仕入れを行うことはできません。しかしマンション経営なら、初期費用として3割ほど用意できれば、あとは融資で賄うことができます。つまり、6,000万円を準備できれば、2億円分の価値のある資産を活用してビジネスを行うことができるということなのです(※実際に必要となる頭金は、物件や融資条件により異なります)。

このように、融資を受けることでレバレッジ効果が見込めるため、自己資金だけでビジネスを行った場合以上の利益を生むことができるという点が、マンション経営の大きなメリットになります。

4-5.生命保険代わりになる

マンション経営のために融資を受ける場合、条件によっては生命保険代わりに活用できることもあります。どういうことかというと、金融機関によっては、ローンを組む場合は必ず「団体信用生命保険」に加入しないといけない、という条件がついていることがあります。これは通称「団信」と呼ばれているもので、ローンを組んでいる人が返済途中に死亡した場合などに、保険会社がローン残債の支払いを肩代わりする、というものになっています。

つまり、融資の際に団信に加入すれば、もし途中で自分に何かあっても、家族が借金に苦しむことはなく、むしろそれ以降はローン返済が不要になり、物件は資産として家族に遺すことができるのです。

ただし、1人あたり1億円までなどの上限があったり、年齢制限があったりする場合もあるため、生命保険代わりにしたい場合は、条件について、事前に金融機関に確認するようにしましょう。

4-6.節税効果も期待できる

マンション経営では、以下のような節税効果も期待できます。

<節税になるケースと対象の税金>
1.マンション経営の収支がマイナスの場合【所得税と住民税】
2.所有中の更地に賃貸マンションを建てる場合【固定資産税・都市計画税】
3.資産を賃貸マンションにして相続する場合【相続税】

1は、マンション経営の他に所得のある人が享受できるメリットです。
マンション経営の収支が帳簿上マイナスになった場合、それを他の所得と合算することで、課税対象額が下がるので、その分、所得税と住民税の支払額を減らすことができます。

2は、現在土地を所有している人が、自分の土地にマンションを建てて、賃貸経営を始める場合にメリットがあるものです。土地は、更地のまま所有し続けるよりも、賃貸マンションを建てたほうが、固定資産税や都市計画税が安くなるため、その分節税になるという仕組みです。

3は、土地や多額の現金を、将来家族などに相続する可能性のある人にとってのメリットです。現金や土地は、そのまま相続すると相続税が高額になりますが、それらの資産を賃貸マンションに換えてから相続したほうが、相続税が下がるため、節税になります。

このような節税効果も、マンション経営を行う上でのメリットの1つとして考えることができます。

マンション経営における節税の方法やその効果をより詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください
マンション経営で節税できる3つのケースと節税効果を解説!【税額シュミレーション付き】

5.マンション経営のリスク4選

マンション経営のメリットについてお伝えしましたが、メリットがあれば必ずデメリットもあります。リスクも正しく理解した上で、始めるかどうかを判断するようにしていきましょう。

マンション経営のリスクは、以下の4つです。

詳しくは次で解説していきます。

5-1.家賃収入を想定通りに得られない場合がある

マンション経営を行う上で一番気を付けておきたいのは、以下のような理由で、想定通りの家賃収入を得られない場合もあるという点です。

・入居者同士の騒音トラブルなどで退去者が増える
・築古で設備も古く人気がないため、入居希望者が出てこない
・物件内で死亡事故が発生し、該当の部屋の家賃を下げざるを得なくなった

これらを防止するためには、もともと騒音が伝わりにくい防音の物件を選ぶ、最新設備を備えた新築の物件を選ぶ、リフォームやリノベーションで価値を高める、あらかじめ死亡事故の際に家賃補償を受けられる保険に加入しておく、などの対策をとるのがおすすめです。

5-2.初期費用や維持費用が高額になる

マンションを購入する場合、金融機関から融資を受けることが多いと思いますが、その際、1~2割くらいの頭金を準備する必要があります。その他、諸費用として税金や保険料、ローンの事務手数料などの支出も発生します。頭金と諸費用を含めた初期費用の目安としては、新築なら購入価格の25〜30%程度、中古なら30〜40%程度が必要となります。

具体的な金額の目安は、以下の通りです。

<マンション経営に必要な初期費用の目安>
・一棟マンション・新築の場合  :2,500万~1億円
・一棟マンション・中古の場合  :2,400万~1.2億円
・区分所有マンション・新築の場合:500~2,400万円
・区分所有マンション・中古の場合:300~2,800万円

その他、初年度以降も、物件を維持するための費用として、以下のような支出があります。

<毎年かかる費用>
・税金:固定資産税、都市計画税、事業税
・損害保険料:火災保険料や地震保険料など
・管理委託費
・賃貸代行手数料
・マンション共用部の水道光熱費
・ローン返済額
・弁護士・税理士報酬

<特定のタイミングにのみかかる費用>
・修繕費
・広告宣伝費・賃貸仲介手数料
・立ち退き料

そのため、ある程度の現金を自分で調達できないと、マンション経営は開始することができません。その分も含めて融資を受けるという方法もありますが、金利も高くなるため、無理にローンを増やすと後々返済に苦しむ可能性が高くなります。返済計画を、しっかりと立てて臨むことが重要です。

マンション経営を開始するときの初期費用や、その後の維持費用について詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください
マンション経営の初期費用を解説!物件種類・金額別早見表付き

5-3.高額な修繕費用を工面できない可能性がある

マンション経営では、実物がある「建物」を取り扱うため、経年による劣化に対処するため、外壁や設備などの修繕費用がかかります。もし修繕を行わないと、マンションの価値が下がり入居者が集まらなくなり、家賃収入の減少を招くので、必ず実施するべきものです。

しかしその費用は、以下のように1部屋で200~300万円ほど用意する必要があり、非常に高額です。

<マンションの修繕費用の目安>
・鉄筋コンクリートのマンション(20戸)の場合:30年間で1戸あたり約225万円

 出典:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」

そのため、家賃収入で儲かった!といって無計画に散在してしまうと、いざ修繕が必要になったときに、現金がすぐに工面できない…という状況になってしまうかもしれません
得た家賃収入の中から、修繕に必要な費用を計画的に貯めておくことが大切です。

5-4.天災が生じると損失が大きい

最後に気になるリスクが、災害などで物件が倒壊したり、破損してしまったりすると、損失が大きいという点です。特に日本は、地震や津波、台風などの災害が多いため、不安に感じる人が多いと思います。

しかし、実際には建物が全壊してしまうほどの災害というのは、そう頻繁に生じるものではありません。特に、木造アパートよりもしっかりした造りの鉄筋コンクリートのマンションの場合、相当大規模な災害でなければ、被害は最小限に抑えることができます。

特に、平成19年(2000年)6月20日の改正建築基準法施行よりも後に建築された新築マンションなら、より耐震性が高いので安心です。実際に熊本地震でも、最新基準の建築物件は、そうではない建物と比較して、被害が圧倒的に少なかったというデータも出ています。

マンション経営におけるデメリットについてより詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください
マンション経営のメリット・デメリット【おすすめする人・しない人の特徴一覧付き】

6.マンション経営の失敗で自己破産するリスクは意外と低い

こんなリスクがあるならやめようかな…と考える人もいるかもしれません。しかし、実際にマンション経営の失敗でローンを返済できず、自己破産などにつながってしまう可能性は、そんなに高くないとも考えられます。

大手地方銀行である千葉銀行の発表によると、賃貸用不動産向けのローンの返済の延滞比率は、0.02%と非常に低い値になっています。

・賃貸用不動産向け貸出(全体)の延滞率:0.02%
参考:株式会社千葉銀行 2018年度中間決算説明会 資料 P.17

これは、ローン返済が滞っただけの貸出に関するデータですので、自己破産にまで進むのはこのうちの一部になります。想像していたよりも低い確率ではないでしょうか。

もちろん、だからといって何も考えずに始めても成功するというものではありませんが、やみくもに失敗を恐れることもありません。メリットとリスクを正しく評価し、自分にとって向いているのかどうかを考えることが大切です。

7.マンション経営が向いている人・向いていない人

マンション経営のメリットやリスク、自己破産するケースは意外と少ないということを解説してきました。マンション経営は、うまく運営できればメリットが大きいですが、誰にでも向いているというものではありません。そこでこの章では、マンション経営が向いている人と向いていない人はどんな人なのか、についてお伝えしたいと思います。

7-1.マンション経営が向いている人

マンション経営が向いているのは、以下のような特徴がある人です。

詳しくは次で説明していきます。

①自分で勉強することに抵抗がない人

マンション経営は、「最初にいくらかのお金を出してマンションを購入すれば、あとは他人がうまく運用してくれる」といった性質のものではありません。
運用中には、退去者が出る、設備が故障する、災害が発生する、などの事象に対して、都度、どのように対応するのがベストなのか?を自分で考えて行動に移す必要があります。

そのためには、上手なマンション経営の方法を、自分で勉強して身につけていかなければなりません。大家仲間の勉強会に顔を出したり、新聞やインターネットでしっかりと情報収集を行ったりする必要があります。 

知識不足ですと、悪徳不動産や管理会社のカモになってしまう可能性があるためです。
マンション経営を成功に導くための方法をきちんと勉強して、自分の物件の収支改善のために行動し続けることができる人なら、マンション経営に向いているといえるでしょう。

②老後のための資産を形成したい人

自分で勉強することが大切だとお伝えしましたが、そうはいっても、マンション経営は、働いた分だけ収入が入るというものではなく、管理さえしっかりしておけば、自分が労働しなくても、毎月安定的な収入が得られるという、効率の良い経営です。

そのため、老後は働けなくなるけれど、年金だけで暮らしていけるのか心配…という人には、マンション経営による毎月の家賃は最適な収入源です。将来の安心のために、今からマンション経営を始めることをおすすめします。

③複数の資産があり、分散して運用したい人

現在複数の資産を保有している人にも、マンション経営は向いています。資産運用の基本は、「投資対象の分散」です。全てを現金や株式などで所有しておくのではなく、一部を、金融危機や景気変動があったときにも価値が落ちにくい不動産に換えておくことで、リスクを分散させることができます。

特にマンションや土地は、売却したときのキャピタルゲインだけでなく、賃貸運用することで、インカムゲイン(毎月の家賃収入)も得られるという点が、色々な種類の資産の中でもメリットが大きい部分です。
多角的な資産運用を行っていきたい場合は、マンション経営を検討してみると良いでしょう。

④節税に関心がある人

マンション経営のメリットの章の「4-6.節税効果も期待できる」でもお伝えした通り、マンション経営では、節税効果が見込めます。特に、以下のような人は、マンション経営による節税で恩恵を受けやすいです。

・元々支払っている所得税や住民税が多い人
・更地を所有している人
・高額な現金や土地などの資産を相続する可能性のある人

上記に当てはまる人には、マンション経営は向いているといえます。

7-2.マンション経営が向いていない人

反対に、マンション経営が向いていないのは、以下のような人です。

詳しくは次で説明していきます。

①自分で勉強したくない人

マンション経営は、単なる不労所得ではありません。多額のローンを組むというリスクをとり、運用中も、入居者が集まりやすい人気の物件になるよう、魅力を維持するための勉強や努力を継続する必要があります。

特に、以下に当てはまる人は、マンション経営を始めても失敗しやすいと考えられます。

・マンション経営は専門外で難しそうだから、とりあえず詳しい人の言うとおりにしたい
・何もしなくても収入が増えるならやりたい
・忙しくて勉強する時間がとれないので、不動産会社や管理会社に丸投げしたい

このような考えでマンション経営を始めると、不動産会社や管理会社にばかり利益が入るような契約を結ばされてしまったり、適切な運用が行われず、物件の収益性が低下したりするリスクが高くなってしまいます。

自分のマンションの経営状態を改善するための勉強ができない、という人には、マンション経営はあまり向いていないでしょう。

②手持ち資金に余裕がない人

「5-2.初期費用や維持費用が高額になる」でもお伝えした通り、マンション経営では、区分所有なら数百万円、一棟なら数千万円レベルの初期費用が、最初に必要となります。

そのため、手持ちの資金に余裕がない、という場合は、マンション経営を始めたくても、現実的には難しいでしょう。

たまたま、資産価値の高い物件を格安で購入できる、という場合は、頭金を入れなくても金融機関からの融資が下りることもありますが、そう多いケースではありません。
ある程度の手持ち資金は準備した状態で、マンション経営を開始するのがおすすめです。

8.知っておきたい失敗事例と失敗に陥りやすい人の特徴

自分にはマンション経営が向いているかも、と思ったら、次に知っておくべきなのは、よくある失敗のパターンです。マンション経営における失敗とは、数パターンに分類できるので、最初にそれさえ学んでおけば、その失敗を避けることができます。
そこでこの章では、よくあるマンション経営の失敗事例と、失敗しやすい人の特徴について解説します。

8-1.マンション経営で知っておきたい失敗事例

特に初心者が陥りやすい失敗事例は、以下の4パターンです。

・不動産会社の言いなりになってしまった
・節税になるという言葉を鵜呑みにした
・利回りの高さにばかり気をとられて収益性の低い物件を掴んでしまった
・収支計算が甘かった

詳しくは以下で説明していきます。

①不動産会社の言いなりになってしまった

不動産のように、専門性が強い性質を持つものの取引の場合、素人の買い手よりも、専門家である不動産会社の担当者のほうが知識や経験が多いことがほとんどです。そうすると、「担当者のセールストークを鵜呑みにして、優良ではない物件を購入してしまう」という失敗が発生しやすくなります。

不動産会社の担当者の大きな目的は、物件を買い手に購入させて利益を得ることです。その後のマンション経営がうまくいくかどうかまで、真剣に考えてはくれません。
不動産会社に薦められるがまま、物件を購入するのではなく、本当にそのマンションが良いのか、自分で情報収集をして決めないと、不良物件を掴まされてしまうという事例です。

<注意ポイント>
・不動産会社に薦められるがまま物件を購入すると、不良物件を掴まされることがある

②節税になるという言葉を鵜呑みにした

節税のメリットを、過剰に強調するような不動産会社の言葉を鵜呑みにするのも、失敗しやすいパターンの1つです。
節税は、あくまでも副次的なメリットのうちの1つで、マンション経営で最も大切なのは「長期で運営したときにしっかり黒字経営できるかどうか」です。

しかし、不動産会社の担当者から「節税になるので、最悪赤字だっていいんですよ」と言われて、収益性がそれほど高くない物件でマンション経営を始めてしまうと、後々、赤字額が節税額をはるかに上回ってしまう可能性もあります。そうなってしまうと、何のためにマンション経営を始めたのかわからなくなってしまいますよね。

節税になるから収益性は低くてもいい、という言葉を真に受けるのではなく、自分にとって本当にメリットがあるのかどうかを考えて物件を選ばないと失敗してしまう、という事例です。

<注意ポイント>
・節税になるから収益性は低くてもいい、という言葉を真に受けると、後々黒字経営できず困ることがある

③利回りの高さにばかり気をとられて実際の収益性が低い物件を掴んでしまった

マンション経営を始めるなら、利回りの高い物件を選びたくなるのが人間の心情です。しかし、提示された利回りの数値だけに気をとられて契約すると、後で「こんなはずじゃなかった…」と悔やんでしまうこともあります。
なぜかというと、利回りは、「満室の場合の年間家賃収入」と「マンション購入金額」を元に算出するものなので、実際にその家賃で入居者が集まりやすいかどうかは関係がないからです。

物件検索サイトなどで中古マンションを探したとき、高利回り物件!と記載されている物件の多くは、「現在入居無し」もしくは、数部屋しか埋まっていないという状況になっています。そんな、入居者が集まらない不人気な物件を購入しても、なかなか満室にはならないので、期待していた家賃収入は得られない、ということになってしまいます。

悪質な場合は、本当は入居者などいないのに、知人やアルバイトを一時的に住まわせることで「満室」と記載しているという可能性すらあります。

そもそも利回りが良い物件というのは、何らかの問題があるため、物件価格を大幅に下げてでも手放したい事情がある可能性が高いです。利回りの高さだけを見て物件を購入すると、失敗しやすいので注意するようにしましょう。

<注意ポイント>
・利回りの高さにつられて物件を選んでも、実際の収益性は低かったという場合もある

④収支計算が甘かった

マンション経営では、運営中に様々な支出が発生します。しかし、それらについて自分で計算をせずに、不動産会社の作成した収支計算だけを見て、計算上利益が出るみたいだからいいか、と物件購入を決めてしまうと、後々想定外の出費が発生し、焦ってしまうことがあります。

例えば、そんな状況で、築年数の経った一棟マンションを購入したところ、物件が老朽化していたために、すぐに多額の修繕費が発生してしまった、というようなケースがそれに当たります。 

築古のマンションは、新築よりも多額の修繕費がすぐに必要になることが多いのですが、その分の想定が欠けていたという例です。

<注意ポイント>
・自分で収支計算をせずに物件を購入すると、後で想定外の出費が発生することもある

8-2.マンション経営で失敗に陥りやすい人の特徴

よくある失敗事例を紹介してきました。こんな失敗を招かないようにするためには、失敗しやすい人の特徴を知っておくことが大切です。以下の2つの項目を確認していきましょう。

・自分で勉強をせず他人に丸投げする
・投資ではなく経営要素が強いことを認識していない

詳しくは次で説明していきます。

①自分で勉強をせず他人に丸投げする

自分でしっかりと勉強をしよう、という意識を持っていない人の場合、失敗に陥りやすくなります。

マンション経営を成功させるためには、収益の出やすい物件を選んだり、家賃をいくらに設定するのか決めたり、どのようなタイミングで修繕やリフォームを行うのか計画を立てたりと、様々な戦略を立てて行動する必要があります。どんな状況のときにどんな対応をしたらいいのか、きちんと勉強していないと、黒字にするのは難しいでしょう。 

しかし、不動産の購入経験や、専門的な知識がないからといって、不動産会社や管理会社に丸投げしてしまうと、自分に不利な契約を提示されても、それを見抜くことができないため、損をしてしまいます。

自分なりに勉強をして、不動産会社や管理会社と対等に話をできるようにすることで、自分に不利な契約をして失敗するのを防ぎましょう。

②投資ではなく経営要素が強いことを認識していない

マンション経営に対して、自動で収益が増える楽な投資、というイメージを持って取り組む人も、失敗を招きやすいです。

マンション経営は「経営」と名がつくだけあり、経営者としての目線が必要なビジネスです。どうしたら空室が埋まるのか、支出を減らすためにはどうしたらいいのかなど、常に自分の物件の客観的な評価を確認し、手を打っていく必要があります。

「マンション経営は投資ではなく、銀行から融資を受けて経営を行うビジネスだ」という認識が薄いと、失敗しやすいので注意が必要です。

マンション経営の失敗についてより詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください
マンション経営の失敗とは?失敗事例と赤字や借金を防ぐ方法

9.リスクを回避するための物件の選び方

マンション経営には、一定のリスクもあるということが、失敗事例などを通してお分かりいただけたのではないでしょうか。そのためこの章では、そんな失敗を避けるための方法をお伝えしたいと思います。リスクを回避するために重要なポイントは、以下の3点です

・立地が良いマンションを選ぶ
・新築のマンションを選ぶ
・付加価値の高いマンションを選ぶ

マンション経営では、最初の物件選びに失敗してしまうと、その後どんなに頑張っても、努力では挽回できないというのが実情です。そのため、絶対に妥協せずに、毎月の家賃収入が安定していて、将来の売却時にも価値が下がりにくい要素を持った物件を選ぶようにしましょう。

9-1.立地が良いマンションを選ぶ

最初に大切なのが、立地の魅力です。入居者が集まりやすい特徴のあるマンションを選ぶポイントを紹介します。

①多くの人から人気のエリアか

買い物や通勤、通学など、日々の生活に便利なエリアに位置するマンションは、そこに住みたいと考える人が多いため、人気が高く、家賃は下がりにくくなります。

そのため、地方よりも都心のほうがおすすめです。そして、都心の街の中でも、特に以下のような要素のあるエリアは、安定した人気を誇ります。

・便利な商業施設があり買い物ができる場所が多い
・緑豊かな公園もあり、都会と自然がほどよく共存している
・交通機関が発達していてアクセスが良い
・治安が良い
・街並みがおしゃれ

例としては、毎年、様々な雑誌やメディアの「住みたい街・駅ランキング」の上位にランクインする、以下のような街が該当します。

・吉祥寺
・横浜
・恵比寿
・みなとみらい
・鎌倉
・自由が丘
・中目黒
・新宿A
・大宮
・池袋
参考:大東建託株式会社「いい部屋ネット 住みたい街ランキング2020<首都圏版>」

不動産の価値を決めるのは、需要と供給のバランスです。多くの人がどのように感じるのかを調査するためには、こうしたメディアの人気調査などを確認して、客観的に判断するのが良いでしょう。

②最寄駅から近いか

最寄駅から近いかどうかも、立地の魅力に大きな影響を与えます。実際に、[SUUMO賃貸・一人暮らしのこだわり条件調査]によると、「現在住んでいる部屋は最寄駅から15分未満である」という人が全体の85.2%を占める結果になったそうです。

そのため、安定的に入居者が集まる人気の物件でマンション経営をしたいなら、最寄駅から近い物件(少なくとも徒歩15分未満)のマンションを選ぶことが重要です。

9-2.新築のマンションを選ぶ

新築マンションは、価格が中古よりも高いため、利回りは低くなります。そのため、マンション経営には向かないと考える人もいますが、実は以下のようなメリットがあるので、マンション経営を始める場合には、中古よりも新築を選ぶのがおすすめです。

①家賃が下がりにくい

利回りが良いと思って中古マンションを購入しても、現在入居中の人が退去してしまうと、そのままの家賃で募集をかけても、他の新しいマンションに負けてしまって、なかなか入居者が見つからない、という事態に陥ってしまう場合があります。

しかし新築であれば、中古よりも綺麗で設備も新しいため、しばらくの間、家賃が下がりにくいという特徴があります。特に、マンション経営が初めての場合は、家賃の下落リスクまで最初から考慮するのは難しいので、初心者ほど、最初の時期に家賃の調整で困らずに済む、新築マンションを選ぶのがおすすめです。

②10~15年程度は大規模修繕が発生せず収支が安定しやすい

中古マンションは、物件価格が安いというメリットがありますが、経年劣化が進んでいるため、購入後すぐに、修繕費用として多額の現金が必要になってしまうケースがあります。そんなとき、自己資金に余裕がないと困ってしまうのではないでしょうか。

しかし新築マンションなら、運営開始後しばらくは、高額な大規模修繕費はかかりません。そのため、初期の収支が安定しやすいというメリットがあります。

9-3.付加価値の高いマンションを選ぶ

立地が良い、新築のマンションを選べたとしても、同じような条件のマンションは自分の物件だけではありません。そんなライバルたちの中で競争力を強めるためには、以下のような差別化ポイントを抑えた物件を選ぶのが有効です。

・スーパーなどの商業施設と直結している
・マンション内にジムやサウナなどの人気設備が併設されている
・ペット可である
・周辺と比較してデザイン性が非常に高い、おしゃれなマンションである
・防音・遮音性が高い

周辺マンションが持っていない価値があれば、入居者を集めやすいため、マンション経営が成功しやすくなります。将来的に売却をするときにも、その点が評価されて高値で売却できる可能性が高まるといえるでしょう。

特に、「防音・遮音性が高い」という要素は、マンション経営において非常に大切なポイントです。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によると、マンションにおけるトラブルの原因の1位は「居住者間のマナー」で、具体的内容の1位は、「生活音」でした。そのため、マンションの「遮音性」の高さは、利用者から強く求められている要素であると考えられます。 

実際にサウンドプルーフでは、防音・遮音性の高いマンションを取り扱っていますが、空室が発生しない満室経営に加えて、通常の賃貸物件では例を見ないウェイティング(入居待ち)が全物件で発生しています。

一般的なマンションよりも不動産投資におすすめな防音マンション「サウンドプルーフ」へのお問い合わせはこちら 

10.マンション経営よくあるQ&A

マンション経営の基礎的な知識や、メリットとリスク、失敗を防ぐための方法についてお伝えしてきました。よりマンション経営への理解を深めることで、始めるべきかどうかの意思決定ができるよう、よくあるQ&Aを紹介します。

Q.一棟マンション経営と区分所有マンション経営の違いは?

A.扱う物件が一棟丸ごとか、マンションの中の一部の部屋のみかという違いです。 

一棟マンション経営と区分所有マンション経営の違いは以下の通りです。

<一棟マンション経営と区分所有マンション経営の違い>
・一棟マンション経営   :マンションを一棟丸ごと所有して経営する方法
・区分所有マンション経営:マンションの中の一部の部屋を購入して経営する方法

それぞれの特徴を表にまとめました。

一棟マンション 区分所有マンション
物件価格が高額(1億円~) 物件価格が安い(数千万円)
得られる家賃収入が多い(数十~数百万円) 家賃収入の額が少額(数万~十数万円)
空室リスクが小さい 空室リスクが大きい
投資効率が良い 投資効率が悪い

最も留意すべきなのは、マンション経営を始めるために調達しなければならない資金の大きさの違いです。

 一棟マンション経営は、1億円以上の物件を購入するための資金を調達できる余裕があり、レバレッジを効かせて効率の良い投資を行うことで、多額の家賃収入を得たい、という人に向いている方法です。

 一方、区分所有マンション経営は、自己資金が少なくて高額な投資はできないが、不動産投資で毎月家賃収入を得たい、という人に向いています。

一棟マンション経営についてより詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください
一棟マンション投資とは?メリット・リスクと向いている人いない人

Q.初期費用はどのくらい必要?

A.マンション経営の初期費用の目安は、300万~1.2億円です。

なぜこんなに幅があるのかというと、物件の規模(一棟か区分所有か)や種類(新築か中古か)、物件自体の価格によって、大幅に差が生じるためです。比率としては、以下が目安です。

<マンション経営に必要な初期費用の目安>
・新築の場合:物件購入価格の25〜30%程度
・中古の場合:物件購入価格の30〜40%程度

つまり、2億円の新築マンションを購入する場合なら、30%の6,000万円、4,000万円の中古の区分マンションを購入する場合なら、40%の1,600万円があれば安心です。

ただし、自己資金が上記の目安未満しかない、という場合でも、金融機関によっては融資をしてくれる場合もあります。その他、以下の方法をとることで、自己資金を減らさずにマンション経営を始める人もいます。

・フルローン :頭金を準備せず、物件購入費用の全てをローンで賄うこと
・諸費用ローン:頭金だけでなく、他の諸費用も合わせて借りること

ただし上記2種類のローンは、金利が高くなってしまったり、審査が厳しかったりというハードルもあります。金融機関によって条件は異なるので、不安な人は相談してみると良いでしょう。

Q.マンション経営では経費はどこまで落とせるの?

A.「マンションの経営のためにかかった支出」であれば全て経費となります。

例えば、以下のような費用が該当します。

<毎年かかる費用>
・減価償却費
・税金:固定資産税、都市計画税、事業税
・損害保険料:火災保険料や地震保険料など
・管理委託費
・賃貸代行手数料
・マンション共用部の水道光熱費
・ローンの利子部分(返済までの期間のみ)
・マンション経営にかかった通信費や書籍代、消耗品費、交通費、交際費など
・弁護士・税理士報酬
・青色申告従事者への給料

<初年度だけかかる費用>
・マンション購入にかかった仲介手数料(売主から直接購入した場合を除く)
・税金:登録免許税、不動産取得税、印紙税

<特定のタイミングにのみかかる費用>
・修繕費
・広告宣伝費・賃貸仲介手数料
・立ち退き料

上記のように、マンション経営で直接的に発生する、管理会社への管理費や、税金だけでなく、間接的に発生した費用も、経費として落とすことができます。
例えば、物件情報を自宅で印刷するために使ったプリンターの購入費や紙・インク代、情報収集のために購入した新聞・書籍代なども、経費になります。

反対に、マンションの経営とは関係のない個人的な支出は、経費計上できません。
例えば、以下のような項目です。

・ローン返済額のうちの元本部分
・白色申告者の専従者給与(経費ではなく控除)
・税金:所得税や法人税など不動産に関係のないもの
・罰金
・自分の生活に必要な支出
・その他マンション経営に関係ない支出

間違えやすい点ですが、ローンの返済額のうち、元本部分は必要経費にはなりません。経費として認められるのは、利子部分のみです。

マンション経営の経費について、より詳しく知りたい、という人は、こちらの記事もご覧ください
マンション経営の経費とは?落とせる範囲と注意点【経費早見一覧付】

11.まとめ

マンション経営の基礎知識について解説してきました。

まずは、マンション経営について詳しく知りたい人のために、基礎知識として以下についてお伝えしました。

・マンション経営で儲かる仕組み:①毎月の家賃収入②物件の売却益
・マンション経営の利回りの目安:4~6%程度
・マンション経営とアパート経営との違い:物件価格や構造の強さ

そして、マンション経営を始めるかどうかの判断に役立つ知識として、以下についても詳しくお伝えしました。

<マンション経営のメリット>
・長期間安定収入を得られる
・景気変動に強く大損しにくい
・空室リスクが低い
・元手が少なくても大きな利益が見込める
・生命保険代わりになる
・節税効果も期待できる

<マンション経営のリスク>
・家賃収入を想定通りに得られない場合がある
・初期費用や維持費用が高額になる
・高額な修繕費用を工面できない可能性がある
・天災が生じると損失が大きい

また、マンション経営の失敗で自己破産するケースは意外と少ないということと、マンション経営が向いている人・向いていない人についても以下のようにお伝えしました。

<マンション経営が向いている人>
・自分で勉強することに抵抗がない人
・老後のための資産を形成したい人
・複数の資産があり、分散して運用したい人
・節税に関心がある人

<マンション経営が向いていない人>
・自分で勉強したくない人
・手持ち資金に余裕がない人

さらに、知っておきたい失敗事例と失敗に陥りやすい人の特徴として、下記を解説しました。

<マンション経営で知っておきたい失敗事例>
・不動産会社の言いなりになってしまった
・節税になるという言葉を鵜呑みにした
・利回りの高さにばかり気をとられて収益性の低い物件を掴んでしまった
・収支計算が甘かった

<マンション経営で失敗に陥りやすい人の特徴>
・自分で勉強をせず他人に丸投げする
・投資ではなく経営要素が強いことを認識していない

さらに、マンション経営を成功させるための方法を知りたいという人に向けて、マンション経営のリスクを回避するための物件の選び方も説明しました。

<リスクを回避するための物件の選び方>
・立地が良いマンションを選ぶ:①多くの人から人気のエリアか②最寄駅から近いか
・新築のマンションを選ぶ:①家賃が下がりにくい②10~15年程度は大規模修繕が発生しない
・付加価値の高いマンションを選ぶ:防音性・遮音性など

最後にはよくあるQ&Aもつけて、マンション経営にまつわる疑問は、一通り解消できるようにしました。

ここまでお読みいただいたことで、マンション経営の基本や、失敗を回避するための方法などを詳しく知っていただけたのではないでしょうか。

自分がマンション経営を始めるべきなのかどうかを、納得感を持って正しく判断するためのお役に立てたようでしたら嬉しく思います。

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